パソコンが壊れてデータが消えたとき|整備工場の復旧手順と事前の備え

朝、事務所の親機パソコンの電源を入れても起動しない。そんな日は前触れなく来ます。整備システムのデータがその1台にしか入っていなければ、故障はそのままデータの消失です。パソコン本体は買い直せても、顧客の連絡先、車検の満了日、過去の整備履歴は売っていません。この記事では、パソコンが壊れてデータが消えたときに最初にすること、データ復旧業者に頼む前に確かめること、手入力で作り直す場合の範囲、新しいパソコンで続きから再開する流れを順に説明し、最後にIPA(情報処理推進機構)の指針に沿った事前の備えをまとめます。

パソコンが壊れてデータが消えたときに最初にすること

起動しない、画面が真っ暗のまま、カチカチと異音がする。こうした症状が出たら、まず触る手を止めます。電源の入れ直しを何度も繰り返したり、別のソフトを同じパソコンに入れて自力で直そうとしたりすると、残っていたデータまで読めなくなることがあります。

次に、データの控えがどこにあるかを確かめます。外付けHDD、事務所のNAS、クラウドのバックアップ、整備システムの保守会社が預かっている控えなど、思い当たる場所を書き出してください。控えの最終更新日も見ておきます。最後に取ったのが半年前なら、その後の半年分は別の手段で埋めることになります。

あわせて、整備システムの保守窓口に連絡します。システムによっては、新しいパソコンへの入れ直しと控えからの復元を窓口が案内してくれます。故障したパソコンは、データの消去が済むまで捨てたり下取りに出したりしないでください。顧客の情報が入ったままだからです。

パソコン故障でデータが消えたら、操作を止めて控えを確かめる

パソコンが壊れてデータが消えたときは、電源の入れ直しや自己流の修理を繰り返さず、操作を止めるのが先です。続いて、外付けHDD、NAS、クラウド、保守会社の預かりなど、データの控えがある場所と最終更新日を書き出します。控えが新しければ、新しいパソコンに整備システムを入れて戻すだけで再開できます。控えが古い、またはない場合に初めて、データ復旧業者への依頼や手入力での作り直しを検討します。故障したパソコンは顧客の個人情報が入ったままなので、データを消すまで廃棄や下取りに出さないでください。最初の1時間の動き方で、その後の手間が大きく変わります。

データ復旧業者に依頼する前に確かめること

控えがない、あるいは古すぎる場合、壊れたHDDやSSDから専門業者にデータを取り出してもらう方法があります。ただ、費用も期間も障害の状態で大きく変わります。読み出しの不具合程度で済むのか、部品の交換が必要な物理的な故障なのかは、診断してみるまで分かりません。この記事では一般的な費用の金額は示していません。見積もりを取るときは、取り出せる見込みの範囲と費用の両方を書面で確かめてください。

取り出せたとしても、全部が元どおりになるとは限りません。整備システムのデータベースは、一部が欠けただけで正しく開けないことがあります。IPAの「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版も、失ったデータの復旧は困難であり、加えて復旧には人手と時間を要すると書いています。

もう1つ見落としやすいのが、顧客データを社外に預けることになる点です。パソコンの中には、顧客の氏名・住所・電話番号、車検証の情報が入っています。業者を選ぶときは、預けたデータをどう扱い、作業後にどう消すのかを確認しておきます。

確かめること理由
取り出せる見込みの範囲全部戻るとは限らないため
見積もりの内訳と追加費用の条件障害の状態で費用と期間が変わるため
取り出したデータの受け渡し方法整備システムで読み込める形かを確かめるため
預けたデータの扱いと消去顧客の個人情報が含まれるため

データ復旧業者への依頼は、控えがないときの最後の手段

データ復旧業者は、壊れたHDDやSSDから専用の設備でデータを取り出しますが、費用と期間は障害の状態で変わり、診断するまで分かりません。取り出せても、整備システムのデータベースが一部欠けて開けないこともあります。IPAのガイドライン第4.0版も、失ったデータの復旧は困難で、人手と時間を要すると説明しています。依頼する場合は、取り出せる範囲、見積もりの内訳、受け渡しの形式、預けた顧客データの扱いと消去の4点を確かめてください。見積もりの段階で、戻らなかった場合の費用の扱いも聞いておくと判断しやすくなります。復旧業者に頼る状況を作らないことが、いちばん負担の小さい対策になります。

整備工場でデータが消えると止まる業務

パソコンの故障で困るのは、その日の見積や請求が打てないことだけではありません。整備工場や車販店の売上は、過去のデータを起点にした仕事に支えられています。

消えるデータ止まる業務影響が出る時期
車検・点検の期日車検や点検の案内はがき、電話での呼びかけ翌月以降の入庫
請求と入金の記録未収金の確認と請求月末の締めと資金繰り
整備履歴(車歴明細)前回の作業内容や交換部品の確認次の来店時の受付
顧客・車両の情報受付での呼び出し、乗り換えの提案その日から
点検整備記録簿の控え記録の保存と問い合わせへの回答保存期間のあいだ

影響が遅れて出てくる点に注意が要ります。故障した週は手書きの伝票でしのげても、翌月になって車検の案内が出せていないことに気付きます。案内が届かなければ、お客様は別の工場で車検を受けるかもしれません。

記録簿のように保存の決まりがある書類もあります。電子で保存している場合のバックアップの考え方は、点検整備記録簿の電子保存とバックアップの記事で取り上げています。会社の資産としてのデータの考え方は、トップページでもまとめています。

整備工場のデータが消えると、翌月以降の入庫まで影響する

整備工場でパソコンが壊れてデータが消えると、当日の見積や請求に加えて、車検・点検の期日、請求と入金の記録、整備履歴、顧客と車両の情報が使えなくなります。とくに車検や点検の期日は、案内はがきや電話での呼びかけの元になるため、消えた影響は翌月以降の入庫に遅れて表れます。未収金が分からなければ月末の請求漏れにつながり、整備履歴がなければ次の来店時に前回の作業を答えられません。パソコンは買い替えで元に戻りますが、これらのデータは買い直せません。故障の損失は、本体の値段より、データが支えていた仕事の量で考える必要があります。まず自社で消えると困るデータを書き出してみてください。

手入力でデータを作り直す場合の範囲と限界

控えがなく、復旧業者でも取り出せなかった場合は、紙の伝票や車検証のコピーを見ながら打ち直すことになります。どれだけの量になるかは、整備システムが持っていた項目を並べてみると見当がつきます。

たとえばDataPortaが返却対象データとして例示している項目だけでも、顧客情報は得意先コード、氏名、郵便番号、住所、電話番号、携帯、生年月日、請求先コード。車両情報は登録番号、初年度、車名、型式、車台番号、所有者と使用者、車検期日、点検期日、自賠責期日などに及びます。これに伝票ごとの入庫日、走行距離、請求額、明細ごとの作業名や部品名、数量、単価が加わります。

顧客や車両の件数にこの項目数を掛けると、通常の業務と並行して進めるには大きな量になります。しかも紙に残っていない情報は戻りません。電話で受けた予約のメモ、作業の申し送り、値引きの経緯などは、システムの中にしかなかったはずです。

手入力での作り直しは、紙に残っている範囲までしか戻らない

パソコンの故障で整備システムのデータが消え、控えもない場合は、紙の伝票や車検証のコピーから打ち直すことになります。DataPortaが返却対象データとして示す項目だけでも、顧客情報は氏名・住所・電話番号・生年月日など、車両情報は登録番号・車台番号・型式・車検期日・点検期日・自賠責期日などがあり、これに伝票と明細が加わります。顧客数と車両数にこの項目数を掛けた量を、通常業務と並行して入力するのは重い負担です。さらに、電話予約のメモや作業の申し送りのように紙に残っていない情報は、打ち直しでは戻りません。作り直しは最後の手段と考えてください。

故障以外でパソコンのデータが消える原因と報告義務

データが消える原因は故障だけではありません。IPAの情報セキュリティ6か条は、故障や誤操作、ウイルス感染などにより、パソコンやサーバーの中に保存したデータが消えたり暗号化されたりしてしまうことがあるとして、バックアップを取るよう呼びかけています。事務所が水につかる、落雷で電源まわりが壊れる、といった事態も同じ結果を招きます。

盗難は、データが消えることに加えて別の問題を生みます。個人情報保護委員会は、漏えい等報告が義務になる場合の例として「個人データが記載又は記録された書類・媒体等が盗難された場合」を挙げています。顧客データの入ったノートパソコンが事務所荒らしに持ち去られたときは、データを戻すことと並行して、報告の要否を確認する必要があります。

ウイルスのなかでも、データを暗号化して金銭を要求するランサムウェアは、つないだままのバックアップまで巻き込みます。対策と感染時の動き方はランサムウェア対策の基本の記事で詳しく説明しています。

パソコン故障に備えるデータのバックアップ

IPAの「情報セキュリティ6か条(解説編)」は、バックアップの対策例として、重要情報のバックアップを定期的に行う、バックアップに使う装置や媒体はバックアップのときだけパソコンと接続する、取得方法を決める、安全な場所に保管する、戻せるか定期的に確認する、の5つを挙げています。

同じ資料は、置き場所の目安として3-2-1ルールを紹介しています。データのコピーは本体を含めて3つ以上持ち、2種類のメディアに保管し、そのうち1つは稼働しているシステムとは別の拠点に置く、という考え方です。例として、パソコン本体、バックアップ用の記憶装置、クラウドサーバーの3つの組み合わせが示されています。整備工場での当てはめ方は3-2-1ルールの記事で詳しく書いています。

パソコンの故障に備えるなら、加えて次の3つがそろっているかを見てください。人が覚えておかなくても自動で取れていること。事務所の外にもコピーがあること。壊れたデータで上書きされないよう、複数の時点の控えを残していること。この3つは、3-2-1ルールの解説でも整理しています。

パソコン故障への備えは、自動・事務所の外・複数世代の3条件

パソコンの故障に備えるバックアップとして、IPAの情報セキュリティ6か条(解説編)は、定期的に取る、装置や媒体はバックアップ時だけ接続する、取得方法を決める、安全な場所に保管する、戻せるか定期的に確かめる、の5つを対策例に挙げています。置き場所は3-2-1ルールが目安で、本体を含めて3つのコピーを2種類のメディアに分け、1つは別の拠点に置きます。整備工場では、人の手作業に頼らず自動で取れていること、事務所の外にもコピーがあること、複数の時点の控えが残っていることの3条件で点検すると、抜けている部分が見つけやすくなります。あわせて、年に一度は実際に戻せるかを試しておくと安心です。

新しいパソコンで整備システムを再開する流れ

控えさえ残っていれば、再開の手順は短くなります。日本カーネットの自動車整備システム(整備システム・整備ソフト DREAM POWER)では、オプションのクラウドバックアップ機能(30日分)を使っている場合、次の流れで戻します。

  1. 新しいパソコンを用意し、整備システムをインストールする
  2. サポート窓口に連絡し、戻したい時点を伝える
  3. クラウドサーバーから控えを取得して復元する
  4. 顧客・車両・売上・帳票のデータが戻り、続きから業務を再開する

この機能では、親機パソコンの電源を入れておけば送信が自動で進みます。ボタンを押す作業やHDDの差し替えはありません。送られるデータは暗号化され、事務所から離れたデータセンターに保管されます。残るのは直近30回分なので、故障する数日前からデータの様子がおかしかった場合は、それより前の回を指定できます。費用は構成やデータ量で異なるため、無料相談でご案内しています。

パソコンの買い替えを機に、システムそのものを見直すこともあるでしょう。乗り換え先で仕事を続けられるかは、顧客・車両・伝票・明細を今のシステムから取り出せるかにかかっています。DataPorta(データポルタ)は日本カーネットが運営するマーク制度で、データを使う側の資産とみなし、求めに応じて返したり移したりする考えに賛同したシステム会社がマークを掲げています。返却の対象になるデータの範囲も公開されています。

よくある質問

電源が入らなくなったパソコンから、整備システムのデータは取り出せますか?
故障の場所によります。電源まわりやマザーボードの故障なら、HDDやSSD自体は無事で、別のパソコンにつないで読める場合があります。ディスク自体が壊れている場合は専門の業者の作業が必要です。いずれにしても、自分で分解や修理を試す前に、整備システムの保守窓口へ相談してください。
データ復旧業者の費用はいくらくらいかかりますか?
障害の状態によって費用も期間も変わり、診断するまで決まりません。この記事では一般的な金額は示していません。見積もりでは、取り出せる見込みの範囲と費用の両方を書面で確かめてください。
外付けHDDにコピーしていれば、パソコンが壊れても安心ですか?
パソコン本体の故障には役立ちますが、HDDも同じ事務所にあるため、水害や盗難、落雷では一緒に失うおそれがあります。つないだままだとランサムウェアで暗号化されることもあります。事務所の外にもう1つ控えを置く方法はバックアップの保存先の記事で比べています。
クラウドバックアップから戻すと、どの時点の状態に戻りますか?
日本カーネットのクラウドバックアップ機能(30日分)では、直近30回分の中から選べます。どの回に戻すかはサポート窓口にお伝えください。対象データの範囲や送信のタイミングはシステム構成で異なるため、無料相談で確認できます。
自動車整備システムや整備ソフトを選ぶとき、パソコン故障への備えで見ておくことは?
親機が壊れたときに、誰が何をどこまで戻してくれるかを見ておきます。具体的には、控えが自動で社外に保管されるか、過去のどの時点まで選べるか、入れ直しと復元を案内する窓口があるか、顧客や車両のデータを自社でCSV出力できるか、です。整備ソフト おすすめの記事や整備システム 比較の表では見落とされがちな項目なので、商談の場で直接聞いてください。
いまのバックアップで、パソコンが壊れても戻せるか見てもらえますか?
パソコンの使用年数や、いまの控えの取り方をお知らせいただければ、親機が故障したときにどこまで戻せるかを日本カーネットが無料で確認します。無料相談フォームから、またはお電話(03-5256-7877)でどうぞ。

出典・参考資料

記載内容は2026年10月6日時点で公表資料を確認したものです。法令の解釈や個別の判断が必要な場合は、専門家または所管官庁にご確認ください。

整備工場のデータは、会社の資産。

なくさないためのクラウドバックアップ機能(30日分)は、整備システム・整備ソフト DREAM POWER のオプションです。親機を起動しておくだけで自動で取得し、最新30回分を保管します。いまの保存先・頻度・世代数をお聞きして、何が変わるかを無料でご説明します。

無料相談はこちらDataPorta(データポルタ)を見る

お電話:03-5256-7877平日 9:00〜12:00・13:00〜18:00