クラウドバックアップとは、事務所のパソコンやサーバーにあるデータの控えを、インターネット経由で社外のデータセンターに保管する仕組みです。オンラインバックアップと呼ばれることもあります。事務所が浸水しても、パソコンが盗まれても、データセンターに控えが残るのが最大の特長です。この記事では、仕組みを4つの段階に分けて説明したうえで、弱点、料金が何によって決まるか、IPA(情報処理推進機構)のチェックシートに沿った選び方を、整備工場で使う場面に引きつけて整理します。具体的な金額は事業者や構成によって変わるため、ここでは比べ方の考え方を扱います。
クラウドバックアップとは:仕組みの4段階
クラウドバックアップは、利用者から見ると「電源を入れておくだけ」で終わることが多い仕組みですが、裏側では次の4つの段階が動いています。
- 読み取り:パソコン側のプログラムが、決められたタイミングで対象のデータを読み取ります。
- 暗号化と送信:読み取ったデータを暗号化し、インターネット経由でデータセンターのサーバーへ送ります。
- 保管:サーバー側で、送られてきたデータを取った時点ごとに分けて保管します。古いものから順に入れ替えていくのが一般的です。
- 復元:パソコンが壊れたときは、新しいパソコンに、指定した時点のデータを取り出して戻します。
総務省の「国民のためのサイバーセキュリティサイト」は、バックアップ先にクラウドサービスを利用する場合、自動で暗号化して保存することで、バックアップ先からの情報漏えいのリスクを防げると説明しています。復号に必要な鍵を安全に保管する必要があることもあわせて書かれています。
クラウドバックアップは「読み取り、暗号化送信、保管、復元」の仕組み
クラウドバックアップとは、社内のパソコンやサーバーにあるデータの控えを、インターネット経由で社外のデータセンターに送って保管するバックアップの方法です。パソコン側のプログラムが決められたタイミングでデータを読み取り、暗号化して送信し、データセンターのサーバーが取った時点ごとに保管し、必要なときに指定した時点のデータを取り出して戻す、という4つの段階で動きます。総務省の「国民のためのサイバーセキュリティサイト」は、クラウドサービスをバックアップ先に使う場合、自動で暗号化して保存すれば保存先からの情報漏えいリスクを防げると説明しています。利用者が日々することは、パソコンの電源を入れておくことと、インターネット回線をつないでおくことの2つです。
クラウドバックアップのメリットと弱点
米国CISAのサイトに掲載されている資料「Data Backup Options」(2012年、US-CERT向けに作成)は、クラウドのような遠隔地の保存について、長所と短所の両方を挙げています。
| 資料が挙げる内容(要旨) | 整備工場での意味 | |
|---|---|---|
| 長所 | 自然災害や、マルウェアによる手元の機器の深刻な故障といった最悪の事態からデータを守る助けになる | 事務所の浸水やランサムウェアでも控えが残る |
| 長所 | ネットワークやサーバーなどの機器に投資せずに使える | 外付けHDDやNASの購入、交換、管理が要らない |
| 短所 | インターネットに依存するため、通信に遅れが出ることがある | 大きなデータを戻すときは回線の速さに左右される |
| 短所 | 事業者の設備や信頼性が利用者からほとんど見えず、データの管理の多くを事業者に委ねる | 事業者選びと契約内容の確認が大切になる |
同じ資料は、データを預ける前にサービスの契約内容でセキュリティの取り組みを確かめること、確立された暗号方式でデータを暗号化し、暗号化した通信で送る事業者を選ぶことを勧めています。
外付けHDDやNASとの違いをまとめると、クラウドは建物ごとの被害に強く、手元の機器は戻す速さに強い、という関係です。両方を組み合わせる考え方はバックアップの3-2-1ルールで、保存先それぞれの違いはバックアップの保存先の選び方で詳しく比べています。
クラウドは建物の被害に強く、戻す速さは回線しだい
クラウドバックアップの長所は、データの控えが事務所から離れたデータセンターにあるため、浸水、火災、盗難、ランサムウェアのように事務所の機器がまとめて使えなくなる場面でも控えが残ることです。米国CISA掲載の資料「Data Backup Options」も、遠隔地の保存は自然災害やマルウェアによる手元の機器の故障からデータを守る助けになると書いています。一方、同じ資料はインターネットに依存するため通信が遅れることがある点、事業者の設備や信頼性が利用者からほとんど見えない点を短所に挙げています。整備工場では、急いで戻したい日常の誤削除は手元の外付けHDDで、事務所ごとの被害はクラウドで、と役割を分けると弱点を補えます。
クラウドストレージの同期とクラウドバックアップの違い
「クラウドにファイルを置いているからバックアップは大丈夫」という声を聞くことがあります。ここで確かめたいのが、使っているものがファイルの同期なのか、バックアップなのかです。
同期は、パソコンのフォルダとクラウド上のフォルダを同じ状態に保つ仕組みです。パソコンでファイルを消せばクラウドからも消え、パソコンのファイルが暗号化されれば、暗号化されたファイルがクラウドにも写ります。US-CERTの資料も、最新の状態で自動的に上書きしていく方式のバックアップは、本番ファイルの破損やマルウェアを気付かないうちに控えへ広げてしまうことがあると注意しています。
もう1つの違いは、データの取り方です。整備システムのデータは、たくさんの表がつながったデータベースの形で保存されていることが多く、システムが動いている最中のファイルをそのままコピーしても、正しく戻せないことがあります。業務システムのデータを守るなら、そのシステムのデータを正しく取得して戻せることが確認されている仕組みを選ぶのが確実です。
同期は「今と同じ」、バックアップは「過去に戻せる」
クラウドストレージの同期とクラウドバックアップは、どちらもデータをインターネットの向こうに置きますが、目的が違います。同期はパソコンとクラウドを常に同じ状態に保つ仕組みなので、パソコンでファイルを消したり、ランサムウェアに暗号化されたりすると、その状態がクラウドにも写ります。クラウドバックアップは取った時点ごとの控えを残しておき、壊れる前の時点を選んで戻すための仕組みです。米国CISA掲載の資料も、自動で上書きを続ける方式は本番の破損やマルウェアを控えへ広げることがあると注意しています。整備システムのデータはデータベースの形をしていることが多いため、ファイルを同期するだけで正しく戻せるとは限らない点にも気をつけます。
クラウドバックアップの料金の考え方
クラウドバックアップの料金は、一般に次のような要素の組み合わせで決まります。見積もりを比べるときは、月々の金額だけを並べず、同じ条件で比べているかを確かめます。
| 料金を左右する要素 | 確かめること |
|---|---|
| 保管するデータの量 | 整備システムのデータ量と、今後増える見込み |
| 残す世代の数や期間 | 何回分、何日分を残すか。増やすほど保管する量が増える |
| 対象の台数や範囲 | 親機だけか、複数台か。業務システムのデータが対象に含まれるか |
| 復元の作業 | 復元が料金に含まれるか、別の費用がかかるか。自分で作業するのか依頼できるのか |
| サポート | 問い合わせの受付時間と方法。何度も問い合わせたときの扱い |
| 導入の作業 | 設定を自分でするのか、事業者が行うのか |
IPAの「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」は、利用者サポートの体制を確かめる項目で、サポートの受付時間や連絡方法と並べて、頻繁に問い合わせた場合の料金も確認するよう例を挙げています。料金表の月額だけでは、実際にデータを戻すときにかかる手間や費用が見えないことがあるためです。
日本カーネットのクラウドバックアップ機能(30日分)は、整備システムをお使いの工場向けのオプションです。費用はシステムの構成やデータ量によって異なるため、ご利用中の構成をお聞きしたうえで無料相談の中でご案内しています。
料金はデータ量、世代数、復元とサポートの範囲で比べる
クラウドバックアップの料金は、一般に保管するデータの量、残す世代の数や期間、対象の台数や範囲、復元作業やサポートの範囲の組み合わせで決まります。月額の数字だけを並べると、世代数が少ない、復元に別の費用がかかる、業務システムのデータが対象外、といった違いを見落とします。IPAの「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」は、サポートの受付時間や連絡方法と一緒に、頻繁に問い合わせた場合の料金も確かめるよう例を挙げています。整備工場で比べるときは、整備システムのデータが丸ごと対象になるか、何回分さかのぼれるか、パソコンを入れ替えたときの復元を誰が行うかの3点を、見積もりの条件としてそろえてから金額を見ると判断を誤りにくくなります。
クラウドバックアップの選び方:IPAのチェックシートで確かめる
IPAの中小企業向けガイドラインの付録7「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」には、クラウドサービスを選ぶとき、使うとき、管理するときに確かめる15項目のチェックシートが載っています。クラウドバックアップを選ぶときに特に関係する項目を抜き出しました。
| チェックシートの項目 | クラウドバックアップで確かめること |
|---|---|
| 取扱う情報の重要度を確認する | 顧客や車両の個人情報が含まれることを前提に考えているか |
| クラウド事業者の信頼性を確認する | 事業者の運営体制や実績を確かめたか |
| クラウドサービスの安全・信頼性を確認する | 稼働率、障害の発生頻度、障害時の回復目標時間が示されているか |
| 付帯するセキュリティ対策を確認する | 通信の暗号化などの対策が具体的に公開されているか |
| 利用者サポートの体制を確認する | 復元を相談できる窓口と受付時間 |
| 利用終了時のデータを確保する | やめるときにデータをどう扱うか |
| データ保存先の地理的所在地を確認する | データがどの国や地域のサーバーに保存されるか |
整備工場ならではの確認項目として、人が操作しなくても自動で送られるか、パソコンを入れ替えたときにそのまま戻せるか、困ったときに日本語の窓口へ電話で相談できるか、も加えておきます。事務所にIT担当者がいない工場では、復元の作業を誰がするかで、止まっている時間が大きく変わります。
選ぶときはIPAの15項目チェックシートを下敷きにする
クラウドバックアップを選ぶときは、IPAの中小企業向けガイドライン付録7「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」にある15項目のチェックシートを下敷きにすると、確認漏れを防げます。たとえば、事業者の信頼性、稼働率や障害時の回復目標時間といったサービス品質、通信の暗号化などのセキュリティ対策、サポートの受付時間、利用を終えるときのデータの扱い、データを保存するサーバーの所在地が項目に挙がっています。整備工場では、これに加えて、親機パソコンを起動しておくだけで自動で送られるか、パソコンを入れ替えたときにサポート窓口へ頼んで戻せるかの2点を確かめておくと、IT担当者がいない事務所でも運用を続けやすくなります。
クラウドに預けたデータの「やめるとき」を確かめる
総務省の同サイトは、クラウドサービス側の障害や運用の不備で、置いたデータが消えたりサービスが使えなくなったりする可能性があるとして、クラウドサービスを使う場合も、万が一に備えてデータのバックアップを取っておくよう勧めています。クラウドに預けたから終わり、ではなく、預けたデータを自分の手元に取り戻す道も残しておくという考え方です。
IPAの手引きも、利用終了時のデータの扱いを確かめる項目で、過去のデータを含む全データを返してもらうか手元にダウンロードできるか、データの形式がほかのサービスと互換性があるか、移行先が返されたデータを一括で取り込めるか、返却後に残ったデータが確実に消去されるか、を確認する例を挙げています。
これはクラウドバックアップだけでなく、整備システムそのものにも当てはまります。日本カーネットが運営するDataPorta(データポルタ)は、自動車整備業務のシステム会社が、お客様のデータをお客様自身の資産として尊重し、必要なときに返却や移行に応じることに賛同していると表明するマーク制度です。顧客情報、車両情報、伝票と車歴のヘッダー情報、車歴明細情報の4種類を返却対象データとして示しています。契約書や利用規約での確かめ方は契約終了時のデータ返却を契約書で確認する方法で取り上げています。データを「なくさない」ことと「持ち出せる」ことを両方そろえる考え方は、整備工場のデータは会社の資産でも紹介しています。
利用終了時のデータの扱いは契約前に確かめる
クラウドバックアップやクラウドサービスを選ぶときは、使い始める前に、やめるときにデータがどうなるかを確かめておきます。IPAの「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」は、利用終了時のデータを確保する項目で、過去分を含む全データを返却またはダウンロードできるか、形式に互換性があるか、移行先で一括して取り込めるか、返却後のデータが確実に消去されるかを確認する例を挙げています。総務省の「国民のためのサイバーセキュリティサイト」も、クラウドサービス側の障害でデータが消える場合に備えてバックアップを取るよう勧めています。整備システムについては、日本カーネットが運営するマーク制度DataPorta(データポルタ)が、返却対象として顧客、車両、伝票と車歴のヘッダー、車歴明細の4種類を示しています。
よくある質問
- クラウドバックアップとオンラインバックアップは違うものですか?
- どちらも、インターネット経由で社外のサーバーにデータの控えを保管する方法を指して使われています。呼び方の違いよりも、自動で取れるか、何回分残るか、どう戻すかといった中身で比べてください。
- 回線が遅いとクラウドバックアップは使えませんか?
- 送るデータの量と回線の速さによって、送信や復元にかかる時間が変わります。常時接続の回線があれば多くの場合は使えますが、大きなデータを急いで戻す場面に備えて、手元の外付けHDDとの併用をおすすめします。
- クラウドに預けたデータは事業者に見られませんか?
- IPAの手引きは、利用者が入力したデータに事業者がアクセスする場合の条件や責任が利用規約などに明記されているかを確かめるよう例を挙げています。暗号化して送る仕組みかどうかとあわせて、契約前に確認してください。
- 自動車整備システムや整備ソフトを選ぶとき、クラウドバックアップの有無は比べるべきですか?
- はい。整備システム 比較や整備ソフト おすすめを調べる段階で、システムのデータを事務所の外へ自動で控える仕組みがあるか、何回分残るか、データをCSVなどで出力できるかを確かめておくと、導入後の備えまで含めて選べます。日本カーネットの整備システム・整備ソフト DREAM POWER をお使いの場合は、オプションのクラウドバックアップ機能(30日分)を利用できます。
- クラウドバックアップの費用を知りたいです。
- 費用はシステムの構成やデータ量によって異なります。日本カーネットでは、ご利用中の構成をお聞きしたうえで無料でご案内しています。無料相談フォームまたは03-5256-7877までご連絡ください。
出典・参考資料
- 総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト」データ復旧・バックアップの管理
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/security/business/admin/13/ - IPA(独立行政法人情報処理推進機構)「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版
https://www.ipa.go.jp/security/guide/sme/about.html - IPA「中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き」(同ガイドライン付録7)
https://www.ipa.go.jp/security/guide/sme/ug65p90000019cbk-att/sme_guideline_v4.0_app_7.pdf - CISA(米国サイバーセキュリティ・インフラストラクチャ安全保障庁)掲載「Data Backup Options」(US-CERT向け資料、2012年)
https://www.cisa.gov/sites/default/files/publications/data_backup_options.pdf - DataPorta(データポルタ)返却対象データ
https://dataporta.info/data/
記載内容は2026年10月6日時点で公表資料を確認したものです。法令の解釈や個別の判断が必要な場合は、専門家または所管官庁にご確認ください。
整備工場のデータは、会社の資産。
なくさないためのクラウドバックアップ機能(30日分)は、整備システム・整備ソフト DREAM POWER のオプションです。親機を起動しておくだけで自動で取得し、最新30回分を保管します。いまの保存先・頻度・世代数をお聞きして、何が変わるかを無料でご説明します。
お電話:03-5256-7877平日 9:00〜12:00・13:00〜18:00







