整備システムで記録簿を作成し、紙をやめて電子で保存したい——という工場が増えています。電磁的方法による作成・保存・交付は認められていますが、システム側が満たすべき条件があります。その中にはバックアップを取っていることも含まれます。ここでは保存期間と要件を整理します。
記録簿の種類と保存期間
| 記録簿 | 作成主体 | 保存期間 |
|---|---|---|
| 点検整備記録簿 | 使用者(実務は依頼を受けた工場) | 1年または2年 |
| 特定整備記録簿 | 自動車特定整備事業者 | 2年 |
| 指定整備記録簿 | 指定自動車整備事業者 | 2年 |
点検整備記録簿の保存期間は、車種名ではなく点検周期で決まります。3ヶ月・6ヶ月点検が必要な事業用自動車や自家用貨物などは1年、12ヶ月/24ヶ月点検の自家用乗用車・軽自動車(二輪を除く)は2年です。もっとも多い自家用乗用車は2年間、確実に取り出せる状態を保たなければなりません。
電磁的方法で保存する場合に求められる措置
国土交通省の取扱いでは、記録簿を電子で作成・保存する場合、システムに次の措置が求められています。
- 記録を検索できる措置
- 他の媒体へ移行できる措置
- 作成・保存・更新・消去の日時、更新箇所、作業者を自動的に記録すること
- 施錠等による改ざん防止
- バックアップを取っていること
- 自動車検査員・整備主任者・入力担当それぞれの権限をID/パスワードで分離すること(ID共用は不可)
管理規程と操作マニュアルの整備も必要です。紙をスキャナで読み取って保存する方法も認められています。
見落とされがちな2つの注意点
1. 窓口では「書面での提示」が必要
運輸支局・軽自動車検査協会の窓口で提示を求められた場合は、書面で提示することが必要です。完全なペーパーレスにはならない点に注意してください。
2. すぐ表示できなければ意味がない
クラウド上の保存は法令上の「備え置き」に該当しますが、端末の電池切れや操作に不慣れで直ちに表示できなければ、点検整備を実施していない扱いとなり得ます。表示できる端末と手順を、現場で使える形にしておく必要があります。
だから「バックアップ」は電子保存の前提条件
紙の記録簿は、事務所が無事なら残ります。電子化した記録簿は、パソコンが壊れた瞬間に保存義務を果たせなくなります。2年間の保存を確実にするには、3-2-1ルールに沿って、事務所の外にもコピーを持つことが実務上の必須要件になります。
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